(山形ネット)
研修・普及活動
2023年3月25日(土) 陸前高田市日帰り研修
3 月25 日(土)陸前高田市に研修に行ってきました。
東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田市。震災後、まち全体が10メートル規模でかさ上げされ、大きく姿を変えたまち並みとともに、震災遺構や避難場所、東日本大震災伝承館を見てきました。
陸前高田市博物館では、被災資料の安定化処理を解説するコーナーを見学。自分たちが作業してきた資料が、これら残された資料の一部であることを実感しました。全国の協力団体を紹介するパネルには、山形ネットだけでなく、山形県立博物館、東北芸術工科大学、山形県立米沢女子短期大学の名前がありました。
また、来年度以降もこのような研修を実施できればと考えています。
研修・事例報告
2022年9月11日 (日) 災害対応ワークショップ
山形市の遊学館にて、山形文化遺産防災ネットワークの令和4年度総会と、山形災害対応ワークショップを開催しました。
◆対談「地域の歴史文化を守り伝える取り組みとは」
三上喜孝(人間文化研究機構ネットワーク型基幹研究プロジェクト「歴史文化資料保全の大学・
共同利用機関ネットワーク事業」研究代表者・国立歴史民俗博物館教授)
佐藤琴 (山形ネット代表・山形大学基盤教育機構准教授・山形大学附属博物館学芸研究員)
◆ワークショップ 「令和2年7月豪雨」と「令和4年8月豪雨」をもとに発災時の対応を考えよう
ファシリテーター:佐藤琴
山形ネットが新体制になって1年。
今年は8月に置賜地方を中心とする豪雨被害もありました。課題も多くありますが、できることからひとつずつやっていくしかない、と再確認した1日でした。
山形災害対応ワークショップでは、国立歴史民俗博物館の三上喜孝さんとともに、歴史資料ネットのあり方や全国的なネットワークの構築の重要性を話し合いました。
また、実際に山形で災害が発生した時にどのように動けるのか、どう情報を発信すれば必要とする人に届くのか、参加してくださった皆さんと一緒に考えました。
さまざまな立場からいただいたご意見は、今後の活動に活かしてまいります。
2022年7月16日(土) 山形文化遺産ネットワーク2022年度 第2回研修会
「被災紙資料の救済方法を学ぶ」
第2回目は、第1回目の研修に引き続き、被災紙資料の救済方法として襖はがしの実技を行いました。
また、「みんなで考えよう!被災時の山形ネットはどう動く?」と題して、災害時に山形ネットの取るべき行動をシュミレーションしました。
災害発生後にどのような情報収集・周知、装備や連携活動が必要か、山形県の作成した「山形の宝マップ」を参照しつつ、令和2年7月豪雨時の初動対応などを振りかえりながら、課題の洗い出しを行いました。
2022年5月22日(日) 山形文化遺産ネットワーク2022年度 第1回研修会
「被災紙資料の救済方法を学ぶ」
2022年3月に策定された「山形県文化財保存活用大綱」に、山形文化遺産防災ネットワークも文化財防災の連携団体として記載されました。
山形県の文化財防災の一翼を担うことが公的にも認められつつあると同時に、近年多発する地震や風水害に対し、文化財の災害予防、災害時の応急対応、復興復旧のための事前準備を整えることが急務です。
そこで、会員のスキルアップと非常時の対応力強化のための研修会を実施しました。講師に国立歴史民俗博物館の天野真志さんをお招きし、被災紙資料の救済方法についてご講義いただきました。
山形ネットのメンバーのほか、大学生や一般の方にも多くご参加いただき、具体的なシミュレーション、ディスカッションを通して活発な意見交換がなされました。また午後には、ふすまの解体を実践しました。
2021年11月13日(土) 文化財防災センター研修
「なぜ災害発生後に文化財を救うのか―文化財レスキューと心理社会的支援―」
文化財防災センター研修事業として東北芸術工科大学を会場に開催されました。
J.F.モリス先生に「資料保全と災害支援―歴史資料保存活動がなぜ、災害に強い地域づくりに 貢献できるか―」、 上山眞知子先生に「歴史文化遺産は個人と地域のレジリエンスを促進し、災害時の保護要因となる!」と題し、ご講義いだだきました。
災害時、文化財レスキュー活動が、心理社会的にどのように被災者の支援につながるのか、過去・未来にいかに重要な役割を果たすのか、専門的にご説明いただきました。
また、県内における文化財防災の取り組みを、山形県と山形文化遺産防災ネットワークからご報告しました。
資料取扱い実習
水にぬれた資料を乾かし救出する方法や、襖に用いられた古文書をはがす作業を行うなど、レスキュー作業に役立てるため資料を取り扱うための実習を行っています。
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2023年3月5日 (日)山形文化遺産ネットワーク2022年度 第5回研修会
「下張り文書に学ぶ紙資料の救済方法」
3月5日(日)今年度最後の研修会。
山形大学のSCITAセンターにて「ふすまの下張りはがし」の集中作業を行いました。緻密な作業と達成感にハマり継続して参加くれる学生もいて、少しずつ解体が進んでいます。
そしてなんと!前回に引き続き2面目が終了しました!残すは14面…
次回の研修会は5月に開催予定です。
2023年1月22日 (日)山形文化遺産ネットワーク2022年度 第4回研修会
「下張り文書に学ぶ紙資料の救済方法」
1月22日(日)に今年度4回目の研修会を開催しました。
山形大学のSCITAセンターをお借りして、ふすまの下張りはがしの集中作業を行いました。山形ネットのメンバーのほか、市民や大学生にもご参加いただき、足かけ何年?ようやく1面の解体が終了しました!
1枚1枚剥がされた資料は、今後写真撮影や、目録化の作業も進めていきます。
残すはあと15面…
次回の研修会は3月に開催予定です。
2022年11月20日 (日)山形文化遺産ネットワーク2022年度 第3回研修会
「資料ネットと被災紙資料の救済方法」
11月20日(日)に今年度3回目の研修会を開催しました。
今回は山形大学人文社会科学部課題演習(地域歴史史料)との合同開催ということもあり、多くの大学生が参加してくれました。
午前中は国立歴史民俗博物館の天野真志さんをお招きし(今年2度目!)「資料ネットと歴史文化資料の保存」と題して、歴史文化資料とは何なのか、災害時の文化財レスキューについて、全国に広がる資料ネットの紹介などをお話しいただきました。
午後は「ふすまの解体」と「被災資料のクリーニング」の実践を通して、紙資料の救済を体験してもらいました。文書や被災資料にはじめて触れる学生も多かったと思いますが、集中して丁寧に作業していました。
次回の研修会は1月に開催予定です。
2022年7月16日(土) 山形文化遺産ネットワーク2022年度 第2回研修会
「被災紙資料の救済方法を学ぶ」 襖はがし作業
第1回作業に引き続き、襖はがし作業を実施しました。記録用紙への記入や、ナンバリングした付箋を付け、はがす作業を進めました。
紙の層が深くなるにつれ、糊付け面が強くなり、前回よりもはがしずらいなか、根気強く一枚一枚下張りされた古文書を取り上げていきました。
2022年5月22日(日) 山形文化遺産ネットワーク2022年度 第1回研修会
「被災紙資料の救済方法を学ぶ」 襖はがし作業
午後には、ふすまの解体を実践し、下貼り文書を解読したり書かれた時代に思いを馳せながら、繊細な作業を体験しました。ふすま解体作業は、今後も定期的に開催することを予定しています。
文献・書籍
活動について雑誌・書籍等で紹介しています
手代木美穂「山形文化遺産防災ネットワークの活動について(プロジェクト地域文化遺産の災害予防・災害対策による循環型保存・活用システムの研究;「山形県文化遺産防災ネットワーク」の形成による県内基盤の強化)」(『平成19 年度文化財保存修復研究センター研究成果報告書』東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター、2008 年)
佐藤琴「被災資料の整理現場における「切り貼りリスト」について:山形文化遺産防災ネットワークによる宮城県農業高等学校同窓会所蔵資料の返還作業を事例として」(『アート・ドキュメンテーション研究』22、アート・ドキュメンテーション学会、2015 年)
小林貴宏「山形文化遺産防災ネットワークの活動から見えた課題」(『歴史』132、東北史学会、2019 年)
天野真志・後藤真編『地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧』(文学通信、2022年)